記憶の隅から

今朝、自分の寝言で目が覚めました。
目が覚めたついでにボーっとしていたら、
急に昔会った印象深い人達を思い出しました。

15年以上も前の話です。
九谷焼の産地は石川県の加賀地方に散らばっていますが、
そのうちの若杉窯や八幡窯のあった現小松市に
今も窯元が何軒か点在しています。
その内の一軒に私は足しげく通っておりました。
染付した生地を本焼きしてもらいにいくためです。
その日も同じように窯元横に車を付けて
品物を板にのせていたときでした。

「こんにちは!」と声をかけられて振り向くと、
ボロボロの服を着て自分でビニール敷物を加工したらしい鞄をたすき掛けし、髪は白髪半分ぼさぼさの、要するに小汚いおじさんが墓地の裏山の方から歩いて来ました。(その窯元の周囲は墓地だったので)、
鬼太郎が大人になったのか?的な(大変失礼な話ですが・・)、
でも不思議なのはその人が浮浪者には見えなかったのです。
言動がハキハキしていたせいもあるし、ニコニコと清々した表情からは
浮浪者の持つ卑屈さや暗さを感じさせるものは何もありません。

「津幡に行きたいのだけど。どう行けばいい?」とオジサンは言います。
少々私にはトンチンカンな質問に聞こえました。
そこから津幡までは数十㌖はあるし、歩いて行くのか?
それとも車に乗せてと言いたいのか?

あのじ:「えーっと・・ここからだと8号線沿いに北に向かうのが一番簡単でしょうか・・近くないですよ」
オジサン:「どちらの方向?」
あのじ:(手で方角を指して)「こっちですね」
オジサン:「ところでこの近くにお寺はない?」
あのじ:「寺ですか・・、最近まで寺だったとこは知ってますが・・ちょっと分かりませんね・・ごめんなさい」
オジサン:「ありがとう!!」

私が車の荷台に向き直り、作業を再開しながら
「どうやって行くんですか?」と振り向くと、オジサンはもう消えていました。

たった数分の出来事だったのですが、妙に印象に残っています。
ちゃんと津幡についたのかしらん?